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泣いて笑って、野菜の話

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2016年 10月 20日

第4回 白石俊英さん・雅子さん Vol.2

白石さんの卵のおいしさの秘密

スーパーなどで販売されている卵に比べて、白石さんの卵は黄身の色がとても薄いことに驚かされます。

黄身の色が濃くなる要因は、エサの主な原料になっている輸入トウモロコシの色素によるもの。

加えて黄身の色が濃いほうが栄養価が高いと感じる消費者がいることから、

パプリカなどの色素をエサに入れ、さらに濃く色づけをすることもあるそうです。

対して白石さんの鶏のエサは、道産小麦と米が中心のため、黄身の色が薄いのだそう。

見た目は薄いけれども黄身の味はとても濃厚。さらに白身が味わい深いのも特徴です。

そして何より卵独特(と思っていた)の生臭さがまったくなく、卵かけごはんにしたときの違いは歴然。

俊英 鶏に緑餌(りょくじ)をやると、変なニオイが消えるっていうけどね。

うちは畑もあるから、そこで取れるものをやったりしている。

エサにこだわったり平飼いにするのはさ、なんかこういうことを言っちゃいけないかもしれないけれど、思想というか好き好きとしかいいようがないんだよね。

もし、ケージで飼ったほうが安いコストでできると思っても、俺はやらないと思う。

安全とか安心のためっていうよりも、こういうスタイルがやりたいからやっているというところに最終的には行き着くかなと。

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鶏の種類はヒペコネラ。オランダ原産の品種で赤い卵を生む。太陽の光を浴びてストレスなくのびのびと育つ。
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取材の日に鶏のエサになっていたのは畑で取れたピーナッツの葉。

できるかぎり自然な状態で鶏を飼育するのと同じように、野菜も新規就農以来、無農薬・有機栽培を貫いているそうです。

俊英さんも雅子さんも、この選択に迷いはなかったと口をそろえて語ります。

俊英 大前提なんだよね。最初からやりたいことはそれ。

それしかない。結局は商売抜きの部分がないとこんなバカなことはやらないと、最近腑に落ちた(笑)。


雅子 有機栽培をするのか慣行栽培をするのかという選択ではなくて、もともとこういう暮らしがしたいというところに、われわれの感覚があるのであってね。


俊英 たださ矛盾もある。

あるときは金を稼げる仕事をもっとやらなくちゃと思ったり、いやいやそんなんではいかん、もうちょっと自給的にやらなくちゃと思うときもある。

味噌を自分で仕込んだり、漬物つけたりもしたいけれど、できていない。

結局、中途半端なまま生きているというか……。


雅子 そうかもねぇ。なかなかこうメインが決まりきっていないからかもしれないね。


卵か野菜か、主軸はどっち?

自分たちの思い描いた暮らしは、ある程度実現はしているが、まだ道半ばという想いもあるようです。

とくにここ何年も二人のあいだで議論となっているのが、仕事の主軸をどこに置くのか。

卵の販売をいまよりも拡大していきたいと考えているのが俊英さん。

卵から有機野菜へ軸足をシフトしていきたいと考えているのが雅子さんなのです。

雅子 鶏は鳥インフルエンザのことがあったり、道産の飼料が手に入りにくくなったりなど、ちょっと危ないことが多くなったというのが私の感覚。

有機野菜は売り先が確保されているから、卵よりずっと楽だと思っているの。

だから畑をメインにしようという主張をしていてね。鳥はおっかないからさ。


俊英 俺からすると有機だっておっかない。有機栽培には法律的な落とし穴もある。

例えば有機で使える資材をメーカーから買ったとしても、実は肥料の成分として表示されているものと中身が違ったということが後で発覚したなんてニュースもあるし。

そうすると最低2年は有機として販売できなくなる可能性もあるからね。


雅子 二人の答えが違うんだよね。喧嘩している時間のほうが長い(笑)。


俊英 たいへんだよ〜。もめてもめて。


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仕事をめぐって喧嘩が絶えないと語る二人。

確かに話をしていると、意見が食い違うこともしばしばあるようですが……。

雅子 30代の頃に栗沢に来たとき、毎年新しいことをやろうと思ったんだ。

なかなかそれができないんだけど、いまやろうとしているのは果樹。

たとえばブルーベリーみたいな果樹を増やしていけば、毎年植える手間が省けるから、もう少し楽できるんじゃないかとか。

あとはクリとか銀杏とか、山椒なんかをやってみたいのさ。


俊英 いっつもこうなの。この人は新しいものを始めるの。

俺は腰が重いの。この人が新しいものに手をつけて飽きておっぽり出すようなものを俺が拾ってる(笑)。


雅子 私は飽きておっぽり出していないけど……。

でも、新しいことを考えていかないとね。

こういう農業とか現場の仕事って、自分で考えたことを実践できるのがいいよね。

たとえば鶏のエサにする魚カスが手に入らなくなったら、ミミズを繁殖させればいいんじゃないかとか。

冬の間、ミミズを保温するためには太陽光発電を使ったらいいんじゃないかと考えたり。

そんなことをあれこれいつも考えているの。


俊英 それで、俺がそんなことやってもコストに見合わないだろう、儲からないだろうって言って喧嘩になる(笑)。

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雅子さんが見せてくれたのは山椒のタネ。山に自生していたタネを取ってきたそうで、今後植えてみようと思っているという。

いつも新しいことを考えて前へ前へと進もうとする雅子さん。

それを受け止めストッパーのような役割をする俊英さん。

仲がいいのか悪いのかは計りかねるけれど、ずっと一緒に暮らしてこれた秘訣は

「農家は協力しないとやっていけない」からなのだという。

そう笑う二人に最後に投げかけた質問。

「新規就農してから20年のあいだで、いちばん印象に残っていることは?」。

するといかにもお二人らしい答えが返ってきました。

俊英 就農した最初に二人で鳥小屋を立てているときがいちばん楽しかったなあ。

やっぱり希望と言うか、これから先のいいことしか考えていなかったからね。


雅子 私は過ぎたことはあんまり覚えていないんですよね。

つくっているあいだが面白いじゃない? つくっちゃったらもういいんだ。

20年も農家をやっていると、最初はぜんぜんできなかったことができるようになっているのがうれしいよね。

仕事も当然早くなっているし、ハウスがつくれるようになったとか、水道の配管ができるようになったとか。

そういうことが好きなのね。

仕事の方向性が定まっていないと二人は語るけれど、それによって卵だけでなく、

さまざまな種類の野菜や果物などが生み出され、その多様性が白石農園の個性につながっているのかもしれない。

俊英さん、雅子さんの会話を聞いていると、

やじろべえのように引っ張り合って実は絶妙なバランスが生まれているんじゃないか、そんなふうに感じられたのでした。

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# by nakiwarai_yasai | 2016-10-20 14:06 | 泣いて笑って、野菜の話